アメリカで日本のテレビ番組を 〜解説:キャプチャー編〜
システム全体像の解説、キャプチャー編です。
私は日本側にHauppauge HD-PVRを設置したわけですが、この製品には幾つかのソフトウェアが付属してします。アメリカのPCからVPN接続によってHD-PVRが接続されているPCにアクセスして、それらのソフトウェアを使って録画予約等の操作をします。
IR Blaster、スケジューラー編で紹介したスケジューラーは、スケジュールされた時間にIR Blasterによってチャンネルを設定、それと同時にHD-PVRに付属のArcSoft TotalMedia Extremeというソフトウェアのキャプチャーアプリケーションを起動します。
この際、録画するファイルフォーマットやHD-PVRに関する設定はは予めキャプチャーアプリケーション側で終了していなければいけません。キャプチャーアプリケーションは、M2TS、TS、MP4の3種類のファイルフォーマットをサポートしています。私の場合にはシステム全体像にあるように最終的にRokuで再生する事を目指しているので、RokuのUSB Media PlayerがサポートしているMP4を選択しました。Rokuの他にPCで視聴する、あるいはApple TVで視聴するという事を目的にされている場合にはMP4を選択されることをお勧めします。M2TSやTSファイルはAVCHDコンパチブルなのでBlu-ray discやDVDを作成することを最終目的にされている場合にはそちらの方が最適です。
しかし、このMP4ファイルにはパッケージングに問題があるらしく、MacのQuicktime Playerでは再生出来たものの、RokuのUSB Media Playerでは再生出来ませんでした。いろいろ検索してみたところHD-PVRのMP4ファイルに関しては既知の問題のようです。
この問題を解決するために、いろいろ調べましたが、FFmpegを使用する事にしました。FFmpegは非常に有名なメディアファイルの変換ツールで、かなり高速ですが、TV番組を録画したような大きなメディアファイルを扱うには、やはりそれなりに時間がかかってしまいます。そこでFFmpegのオプションをFFmpeg Documentationで調べたところ、vcode/acodeオプションをcopyに設定する事によってデータ量の大きいcodecの変換を避ける事が出来る事が分かりました。私の場合には下記のようなコマンドを実行してリパッケージをし、この問題を回避したところRokuのUSB Media Playerで再生できるMP4に変換することが出来ました。codecの変換を避けているので、それほど時間も掛かりません。
ffmpeg -i {input file} -vcodec copy -acodec copy -aspect 16:9 -r 29.97 -ac 2 -async 1 -ab 256k {output file}
一つの問題はFFmpegは基本的にインストール可能なツールとして提供されておらず、ドキュメントに従うなどして、各自がコンパイルしなければ成らないことです。私の場合はMacユーザーですので、FFmpeg on Macというドキュメントに従ってFFmpegを用意しました。このドキュメントに従ったところ15分程で作業は完了したので、比較的簡単な作業だと言えると思います。
こうして、漸くRokuのUSB Media Playerで日本のテレビ番組をみるという目的は達成されました。また、最後のMP4のパッケージに関する問題は、RokuのUSB Media Playerのような判別の厳しいもので無ければ発生しない場合も多いと思います。ですので、PVRの設置に際してplayerの購入を検討される場合には、こうした問題も考慮されるといいでしょう。既にplayerをお持ちの場合には、私同様FFmpegで問題回避が必要という場合もあり得るでしょう。
アメリカで日本のテレビ番組を 〜解説:IR Blaster、スケジューラー編〜
システム全体像の解説、IR Blaster、スケジューラー編です。
私は日本側にHauppauge HD-PVRを設置したわけですが、この製品には幾つかのソフトウェアが付属してします。アメリカのPCからVPN接続によってHD-PVRが接続されているPCにアクセスして、それらのソフトウェアを使って録画予約等の操作をします。
HD-PVRはTVチューナーを持っていないため、チャンネル設定は別の機器をIR Blasterと呼ばれるソフトウェアによって操作してチャンネル設定を行います。IR Blasterは簡単にいうとTVチューナーやケーブルTVのセットトップボックスのリモコンの代わりになる仕掛けです。HD-PVRから配線しチャンネルを操作したい機器の赤外線受光部に配線の先を取り付け、PCのソフトウェアから希望のチャンネルを設定すると受光部に信号を送ってくれます。
問題となるのはアメリカで購入したHD-PVRですので、IR Blasterに予め登録されている機器やメーカーの設定が日本で使用している機器をカバーしていなかったりする場合です。私の場合にはTVチューナーとしてBuffalo DTV-H400を使用しているので、当然対応する設定は見つかりませんでした。(Buffaloはアメリカではあまりにもマイナーです。)そこでIR BlasterのIR Learningという機能を使ってIR BlasterにDTV-H400のリモコンを学習させました。これによってIR Blasterからきちんとチャンネル設定を出来るようになりました。
次にスケジューラーですが、HD-PVRにはWinTVというスケジューラーが付属しています。このスケジューラーは非常に簡単なもので、EPG予約は可能ではありますが、テレビ王国等のサイトにアクセスして予約といった事は出来ません。従って残念ながら予約の際にも日本にあるPCに接続してWinTVを操作することになります。こうした問題を回避するには、SageTVやMythTVといったサードパーティのソフトウェアを使用するという方法もあるようですが、私の場合は、比較的決まった番組を録画する事が多いので、そこまでは手を伸ばしませんでした。態々予約を一つ一つ設定するのが面倒という方は、サードパーティのソフトウェアを試されるのも良いかと思います。
WinTVについてですが、2つほど気づいた問題点がありました。一つは連続録画をする際にバグがあり、例えば午後6時〜午後6時30分まで番組Aを予約、続いて午後6時30分〜午後7時まで番組Bを予約とした場合、二つ目の番組Bの録画に失敗します。ですので、敢えて番組Aの録画予約の終了時間を午後6時30分ではなく午後6時29分にするなどワークアラウンドする必要がありました。折角EPG予約出来るのですが、こういった場合は手修正するほかありません。
もう一つの問題は、EPG予約する際に、EPGのファイルにはチャンネル名が指定されていて、WinTVがそれを解読してチャンネル番号を設定するのですが、このチャンネル名をチャンネル番号に変換する設定に間違いがあり修正する必要がありました。
この設定方法はマニュアルになかったのですが、C:\Program Files\WinTV\Scheduler\chdata.datというテキストファイルを編集する事によって変更可能でした。
これらの問題点に対応することによって、録画予約が可能になしました。
アメリカで日本のテレビ番組を 〜解説:リモートデスクトップ, FTP編〜
システム全体像の解説、ソフトウェア編です。
ネットワーク編にあったようにVPNサーバーとDynamic DNSを使用することによって、PVR (Personal Video Recorder)が接続されているPCに宅外からアクセス出来るようにはなりますが、それだけでは日本に設置したPCを操作する事は出来ません。Windows XP Pro等のOSであれば、OSにリモートデスクトップという機能が組み込まれていますが、家庭用のPCの多くはWindows XP Home EditionなどのOSがインストールされていて、これらのOSではリモートデスクトップの機能はサポートされていません。
そこでWindowsのリモートデスクトップと同様の機能を提供するフリーウェア、RealVNCを使用しました。RealVNCのサーバーをPVRに接続されている日本のPCにインストールし、ユーザー設定を行います。このサーバーはWindowsがスタートした際に同時にスタートするようにしておきます。VNCサーバーのイントールはアメリカからは出来ないのでPVRを設置している方にお願いして行ってもらいます。
一方でVNCビューワーをアメリカで使用するPCにインストールします。VPN接続で日本のローカルネットワークに接続した後、VNCビューワーでローカルネットワーク内のIPアドレス(192.xxx.xxx.xxx)でVNCサーバーに接続します。するとVNCビューワー内にVNCサーバーが動作しているWindowsのデスクトップが表示され、日本にあるPCの操作が可能になります。
こうしてVNCビューワーを通して日本にあるPCの操作が出来るようになると、後は殆どアメリカ側から設定・操作が出来るようになります。そして、PVRに付属のソフトウェアで録画予約をしたり、プレビューを見ながらその場で録画したり出来るようになります。
しかし、それだけではアメリカにあるテレビで見ることは出来ません。ここで選択肢が幾つかあると思いますが、私の場合はorbのようなstreamingではなく、録画されたファイルをアメリカ側のPCにダウンロードとする事にしました。
日本のPCにあるファイルをダウンロードをするに当たってはFTPサーバーを使用することにしました。他の方法もありますが、FTPの場合、インターネット接続が途中で切れた場合などにresume機能(例えばファイルの半分を残して回線が切れてしまった場合に、最初からではなくて、途中からダウンロードを再開します)が使えるため、比較的時間的なロスを抑える事が出来ます。
Windows XP等のコンシューマ向けWindows OSにはFTPサーバーの機能はありませんので、FileZillaというフリーウェアを使用しました。このサーバーはきちんと日本語対応も出来ていて録画されたファイル名に日本語が入っている場合でも、日本語を壊す事なく扱う事が出来ます。また、FileZillaはftpクライアントも提供していて、このftpクライアントをアメリカ側で使用することにしました。
ftpクライアントについてはFileZillaよりも機能的に優れていて、ダウンロードの予約なども可能なクライアントもあるようですので、その辺りはもう少しリサーチして用途にあったものを選んでも良いかと思われます。
参考ですが、私の場合ファイルサイズを抑えるためにND(Normal Definition)、出力ファイル形式m4pで録画しています。Hauppauge HD-PVRでこの設定で録画した場合、1時間番組がおよそ1.5GBになります。また、このファイルをダウンロードするのに(回線の状態にもよりますが)1時間程かかっています。ほぼ放送時間≒ダウンロードの状態です。
RealVNC, FileZillaという2つの素晴らしいフリーウェアによって、日本にあるPCの操作およびファイルのダウンロードが可能になります。
アメリカで日本のテレビ番組を 〜解説:ネットワーク編〜
システム全体像に解説を加えたいと思います。
PVR(Personal Video Recorder)は入力された映像や音声を記録する器械です。PVRは通常PCに接続され録画する映像をPCに保存します。PVRには録画予約や録画した映像を視聴するソフトウェアが多くの場合は付属しているので、それを使って操作するか、もしくはPVRに付属のリモコンで操作することも出来ます。PVRの種類や設定等にもいろいろあるのですが、アメリカから日本のテレビ番組を見るにあたって特有の問題を解説していくことにします。もっともここに書かれている事はアメリカや海外からというよりも、宅外からPVRを利用するという意味では一般的な問題ですが。
離れた場所からPVRを利用するには、付属のリモコンを使用することは出来ないので、PVRが接続されているPCにインターネット経由でアクセスしてソフトウェアを使って操作することになります。
そこでまず問題になるのが、PVRが設置されている宅外から、そのPCにアクセスする方法です。PVRの設置されている宅内であればローカルネットワークであるのでアクセスは簡単ですが、宅外からとなると通常PCを守ってくれているルーターやゲートウェイのようなものが邪魔になってしまいます。
それともう一つの問題は通常ISP(internet service provider)はDHCPによって動的にIPアドレスを割り当てるので、そのPCに割り振られているIPアドレスが変わってしまうという問題もあります。IPアドレスが変わってしまうと宅外からアクセスする為には日本に設置しているPCやルーターのIPアドレスを別途メール等で連絡して貰わなければ接続することが出来ません。
そこで私の場合はBuffaloのBHR-4RVというVPN接続をサポートしているルーターを設置しました。(システム図では左側にあるRouter, VPN Server)VPN接続というのは、簡単にいうと、宅外からのアクセスをあたかも宅内のローカルネットワークからのアクセスであるかのように扱ってくれる接続方法です。会社などでも在宅勤務者や外回りの営業の方々が会社内にいる時と同じ情報にアクセスできるようにするために使用されている方法です。VPN接続するためには、まず宅外からアクセスするPCがインターネットにアクセス出来ている状態から、さらにVPNネットワークの設定を行って、VPNサーバーに設定されているユーザー名とパスワードを使って宅内ネットワークへのアクセスの認証を受けます。
VPNサーバーの機能を持ったルーターは以前は非常に高価でしたが、最近ではかなり安価なルーターでもサポートするようになりました。BHR-4RVは5000円程で購入出来ました。
また、前述したIPアドレスに関する問題ですが、最近は無料でDynamic DNSというサービスを提供しているところがあり、そういったサービスに先のルーターを登録すると、IPアドレスは動的に変わってしまうのですが、ドメイン名を使ってVPNサーバーにアクセスできるようになります。私はDynDns.comというサービスを使っています。
DNSというのは本来ドメイン名(e.g. google.co.jpなど)を静的な(つまり変らない)IPアドレスにひもづけるサービスなのですが、Dynamic DNSサービスというのは、IPアドレスが変わってしまう端末(この場合はルーター、BHR-4RV)のIPアドレスを定期的にチェックして、その端末についているドメイン名の設定をその都度更新するというサービスです。
Dynamic DNSサービスを利用することにより、123.456.789.012といったIPアドレスではなく、myname.dynalias.comといった覚えやすい名前で接続設定出来るようになります。また、ISPによってルーターに割り当てられたIPアドレスが変更になっても、このドメイン名さえ分かっていれば接続することが出来ます。
こうしてVPNサーバー機能を持ったルーターとDynamic DNSサービスを利用する事により宅内のネットワークにアクセス出来るようになります。
また、こうした一般向けのVPNサーバーがサポートしているPPTPというVPN接続用のプロトコルは企業等で使われているVPNサーバーが使用しているプロトコルとは異なり、VPNサーバーにアクセスするPCやスマートフォン等に特別なソフトウェアをインストールする必要はありません。
Windows XP, Vista, Windows 7, Mac OS Xや一部のスマートフォン(iphone, iPad含む)はPPTPをサポートしているので、簡単にVPNネットワークの設定をする事が出来ます。
ただし、私の場合はMacを持っているのですが、残念ながらBHR-4RVにはMacからはVPN PPTP接続する事が出来ませんでした。これはBHR-4RV固有の問題ですが、Macユーザーの方はルーターを購入される場合にMacサポートを確認された方がいいでしょう。
アメリカから日本の番組をみるために出来上がってしまったシステム全体像。こんなになっちゃった。
アメリカで日本のテレビ番組を
近所のレンタルビデオ屋さんが何時まで経ってもビデオテープからDVDに移行しなかったのに業を煮やして数年前から、日本にいる私の兄のところにTVキャプチャーを置かしてもらってます。(因みに近所のレンタルビデオ屋さんは閉店しました。DVDに移行しなかったのはそのためだったようです。)最初はSharpのGalileo。2,3年程で宅外から録画するためのサービスが終了になると発表があったときに購入したので、とにかく安く手に入りました。ダウンロードする為のソフトがあまりにも不安定で苦労させられましたが、問題のサービスが終了する直前まで頑張りました。
Galileoのサービスが終了するに当たって、次に設置してもらったのが、BuffaloのPC-MV72DX/U2というアナログTVキャプチャー。Galileoと違うのは日本にある兄の自宅外からアクセスして録画予約する方法がキャプチャー本体にはないので、これまたBuffaloのBHR-4RVというVPN接続をサポートしているルーターを設置してもらって兄の家に余っていたラップトップにキャプチャーを接続、そしてVNCサーバーをインストールしてアメリカからVNCクライアントでアクセスして操作することにしました。
去年の1月に設置してもらってつづがなく動作してました。ところが今年の2月末あたりに突然コピーガードが掛かったフォーマットで録画されるようになりPCast TV2という付属ソフトでしか視聴できない状態に。兄の契約しているケーブルテレビがアナログ信号にCGMS-A信号を入れるようになり、これにしっかりとまともに反応してしまいました。アナログ録画にまでそんなコピーガードを持ち込むとはテレビ局はどこまでせこいんだか。
そうは言っても、直ぐに世の中変わる訳もないので次の手を打つことに。そして白羽の矢を立てたのがHauppauge HD PVRです。これまでと違いHD PVRにはTVチューナーはついていません。日本でも販売されているのですが、日本で販売されているものは(レジストリをいじる等すると解除されるそうですが)BuffaloのTVキャプチャーと同じくコピーガードがかかり、且つ価格が非常に高くて、米国で購入+日本に送付した方が安くなるという状況なので、迷わずamazon.comで購入&日本にクロネコヤマトの国際宅急便で送付することにしました。
そのセットアップが最近終了して日本のテレビ番組が数週間ぶりに見れるようになりました。ということで、次回はHD PVRを設置した環境をまとめてみたいと思います。